子どもが最初に興味を持つ物はなんでしょうか。
それは、「形ある物」です。
大きな物、小さな物、丸い物、四角い物、子どもたちは目にしたその形ある物がなんなのかを、目で、耳で、鼻で、手で、唇で、舌で一心に確かめようとします。
その誰もが興味を示す形に、系統だった順序があることを、フレーベルという人が発見しました。
ボールに始まり、筒状のもの、四角い形、三角の形、粒状の物、線状の物、平面の物へと発展していきます。
つまり、
球→円柱→立方体→三角柱→点→線→面
という順序です。
そして、子どもがそれらの形を使って遊ぶ中で、物理法則などの秩序が体感できるようなおもちゃを発明します。
これがフレーベルの積み木です。
それ以前にも、石や木片などを子どもたちが遊びに使うことはありましたが、基準となるサイズ(規尺と言います)を統一したり、形の順序に沿って提供していく手法を考えたのはフレーベルでした。
日本では「恩物」と呼ばれています。
れちとびで使っている「WAKU-BLOCK」は、このフレーベルの積み木を基に、和久洋三氏が推敲に推敲を重ねてデザインしたものです。
その思想とも言える規尺は、マットから収納箱に至るまで、全てが一緒に使える事を念頭に作られています。
なぜそこまでこだわって作る必要があるのでしょうか。
それは、遊びの中にこそ学びがあり、秩序を知る事で人は自由になれるからです。
秩序が人を自由にするということが、一見矛盾しているように感じるかもしれません。
ですが、例えば人が空を飛ぼうとした時を考えてみてください。
人が飛ぶには、飛行機が要ります。
飛行機を飛ばすには、機械を組み立てる知識が要ります。
材質は何がいいか、燃料はどうするか、どういう形なら飛べるのかといった航空力学も必要です。
これらの法則を知らずして、道具も無しに空を飛ぶことはできません。
空を飛ぶための秩序を得ることで、自由に空が飛べるのです。
こういった、「秩序の探究」が遊びながらに体感できる形、大きさ、重さをWAKU-BLOCKは追求して作られています。
さらに、形の順序は、形と形の関係性を子どもたちに体感させます。
球はどんな方向にも転がる性質を持っています。
円柱は転がる性質を持ったまま、安定して立つ性質も持っています。
立方体はどの面を上にしても安定して立つ形です。
その立方体を半分にした物が三角柱です。
点は極小の球です。
その点が一直線に集まり、線になります。
線から一つでも点がはみ出すと、面ができます。
そして、全ての物体は、点・線・面によって構成されているのです。
この形の関係性を知ることは、物事の理解を深めることと同じです。
同じところはどこか、違うところはどこか、共存するにはどうすればいいか、様々な形の積み木を使う中で、繋がりを作っていくのです。
これは、多様化する社会の中で生きていく上で、とても重要な能力です。
相手と自分の関係性に気づき、新たな価値を生み出すこと、これこそが「創造力」なのです。
しかし、この秩序の探究と関係性の気づきには、どうしても欠かせない要素があります。
それは、「集中力」です。
この集中力を子どもたちは、すでに持っています。
大事なことは、それが十分に発揮できる環境があるかどうかです。
気が散るような物が周りにあっては、大人でも集中できません。
提供する情報は吟味する必要があります。
そして、何より大事なキーワードは、「楽しい」ということ。
楽しければ子どもは、何度でも繰り返し遊びます。
一見同じことをしているように見えても、その度に違う気づきや発見があるのです。
その発見は、新たな発想を生み出し、遊びがさらに発展します。
大人が用意すべき仕掛けは、夢中になれる環境なのです。
れちとびで用意する約2500個の積み木は、否が応でもワクワク感を生み出します。
それによってでき上がったダイナミックな作品は、満足感と達成感を味わうのに十分な物です。
学校の成績が上がることは保証できません。
希望の学校へ入ることも保証できません。
頭が良くなることも保証できません。
結果としてこれらが得られる可能性はあります。
ですが、本当に身につけて欲しいことは、自分で考え、決定し、行動することです。
そのための積み木遊びであることは保証します。
ぜひワークショップ「つみきであそぼう」にご参加ください。
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