妻の出産に伴う入院で、娘と2人きりで過ごす2日目。
病院からの帰り道、疲れ果てて車で寝てしまった娘。
この数日で彼女の心の中は、かなりいい具合にミキシングされたからだろう。
1日目の夜は、
「ままがいないと寂しい」
とさめざめと泣いていた。
こういう気持ちを、素直に出せるところが、彼女のいいところで、親としても助かる部分。
「そうだね、お父さんも寂しいよ。早く、お母さんと、しいちゃんと4人で過ごせるといいね」
と話してその日は床についた。
さて、帰宅してそのまま寝かそうかとも思ったけど、
風呂嫌いの娘は、もう2日も体を拭くだけで済ませているので、申し訳ないと思いつつ風呂に入れた。
すると、あんなに眠そうにしてたのに、
「お風呂はいったら、目が覚めちゃった♩なんかカワイイもの作ろ❤️」
などとのたまう始末。
・・・さっき、起こしたらかわいそうだなと思った父の気持ちを返してほしい。
「こんなの作りたい」
と一生懸命言葉で説明するけど、要領を得ないことがあって、
「ちょっと、絵に描いてみて」
と言ってから、自分の作りたいものを絵に起こすようになった娘。
今日の作りたいものはコレだ!
・・・「りぼんごぬ」て。
彼女のプライドを傷つけぬように、そこはスルーしておいた。
どうしようかと思案していたら、
お見舞いで買った花のラッピングに使っていた不織布と飾りの紙紐を見つけた。
いそいそと、裁ちバサミにダンボール、両面テープ、マジックと材料集めを始める。
淀みなく素材をつなぎ合わせていく様は、なんとも頼もしい。
どこへ出しても恥ずかしくない自慢の娘です。
りぼんごぬ だけど。
「できた!」と完成したものの、
ゴム部分を紙紐で作ってあるので、
実際に髪を縛れないことに不満を感じているようだった。
ここまで、手出し口出しをしなかったけれど、
本物のゴムを使うことと、針と糸で不織布を縫い付けることを提案して、
固いゴムの縫い付けを代わりにすることにした。
いつもなら手出しを嫌う彼女だが、
ここまで自分でやってこれたという気持ちを持てたようで、
素直に父の提案を受け入れた。
・・・違うな、いつもは僕が口を出すのが早すぎるんだな。
ここまで待ったから、対等な話し合いになったんだ。
待つって、大事だなー。
そんなこんなで出来上がった
最終的な作品がこちら。
いや、かなりイメージ通りの物が出来たんじゃないか?
こうして、
「りぼんごぬ」は完成した。
娘は満足して笑顔で床についた。
父は兵どもが夢の跡を片付けた。
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