11月6日に、インタープリター養成講座の最終回があった。
今回のテーマは、「森林整備」
講師は、「杣事屋七兵衛」の田村さん。
山の管理を生業にされている。
田村さん曰く、山の仕事はもともと役割によって分かれていて、
ざっくりいうと4つに分かれていた。
杣(そま)・山の地面を木が育ちやすい状態に整備し、植樹・育成を行う人。
切り出したりもする。
樵(きこり)・材木として使えるようになった木を伐採し、運びやすい大きさにして切り出す人。
土引き(どびき、日用⦅ひよう⦆ともいう)・切り出した木を運搬する人。
木挽き(こびき)・建材として使えるように、製材する人。
ただ、杣は田舎者とさげすまれたり、樵は山々を渡り歩いて、木を切って荒らしていたという経緯があり、あまり仲は良くなかったらしい。
さて、その森林整備の仕事なのだけど、本当に多岐にわたる。
日本は土地をほったらかしにしておくと、勝手に森になっていくという、
温帯地方では非常に珍しい国だけど、それでもただ切ればいいというわけではない。
苗木を植えるために、山に残っている材木や枝を整理したり、
どういった木をどのくらいの間隔で植えるか決めて植え付けたり、
苗木に光が当たるように下草を刈ったり、
育てる樹木がきちんと大きくなるように、競合する木を切ったり、
木を曲げる原因となるツルを切ったり、
材木として使う木の枝打ちをしたり、
どの程度まで大きくするかを考えて、間引きをしたり、
そこまでやってようやく育った木を、材として切り出すのだ。
よく見ると、実は畑とやっていることは同じ。
違うのは、そのサイクルが数十年から百年単位で行われるということ。
そして、作業の段階で命の危険があるということ。
林業の盛んな長野県では、毎年2人ほどの方が、作業中に亡くなっている。
これは、気を引き締めてかかる必要がある。
長袖、長ズボンはもちろんのこと、肌の露出は可能な限り控える。
ヘルメットの着用。頭上から落ちる枝でも、高さによっては頭に刺さる。
それから手袋。ノコギリなんかを使うので、滑り止めがついたものがいい。
チェーンソーを扱う時は、ゴーグル、フェイスガード、イヤマフ、防刃チャップス、安全靴なんかも必要になるが、講習生は手鋸でやるので、そこまではしない。
まずは、どうやって切るかを先生に見せてもらう。
ただ横に切るだけじゃないのね。
まず、木を倒す方向に「受け口」を作る。
①水平に対し、30-45°の角度で斜めに切り込みを入れる。木の直径に対し1/3-1/4の深さ。
②斜めに切り込みを入れた両下端めがけて、水平に切り込みを入れる。
次に、反対側に「追い口」を作る。
③受け口の下の切り込みの、少し上に水平の切り込みを入れる。深さは②の少し手前。
このように上手に切れば、人の手で押すだけで倒れる。
この倒すときに下敷きになることが死亡事故の大きな原因になるそうだ。
講習生も切り株でやってみるが、なかなかうまくいかない。
斜めに切るところが片方だけ深く切りすぎたり、
受け口の下を深く切りすぎたり、
慎重になりすぎて浅くなってしまったり。
熟練の技に恐れ入るばかり。
昼休憩を入れた後は、いよいよ伐採。
立っている木を切るときは、ロープをかけて予想外の方向へ倒れるのを防ぐ。
滑車を3つ使い、小さな力で引き倒せるようにする。
こうして誰もけがをすることなく、切ることができた。
木材が大きな苦労のなかで作られていることを知ることができた。
国産材が高くなってしまう理由も知れたしね。
ひと段落した後は、NEARリーダーの資格試験の最終テスト!
みんなできるかどうかと、ドキドキしてたけど、全員合格!
資格を証明するカードが来るのを楽しみにしています。
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