長野県では、信州型自然保育認定制度(通称:信州やまほいく制度)を設けており、地域の自然を積極的に取り入れた保育を行う幼稚園・保育所を支援する制度がある。いわゆる森の幼稚園だ。^_^
先日、上田女子短期大学がその一つを見学する際に、一般向けに同行者を募集していたので、参加してみた。
森の幼稚園の存在は知っていて、いくつかの名前も聞いてはいたが、どんな保育を行っているかは全く見たことがなかった。
見学先の施設は、安曇野にある「響育の里山 くじら雲」
保育を1日まるっと見せてもらえるということで、朝の6時30分に上田女子短大へ集合。(家を出たのは5時30分)
そこからさらにバスに揺られて安曇野へ。
バスの車内では、先生方にウチの積木の宣伝をせっせとしておいた。
そうするうちにバスは到着、、、したんだけど、着いたところは地域の公民館。
続々と子どもたちも到着する。人数は、3-5歳児の縦割りで16人。この日休みが4人だっようだ。
野外での活動が基本とあって、みんな、スキーウェアのような服に、帽子、スキーグローブ、長靴、スパッツ、リュックに水筒とかなりの重装備。
一体、ここからどうするのかと思ったら、なんと山の上にある施設まで歩いていくのだという。
途中は車道だけでなく、林の中を潜り抜けるような道もたくさんあって、かなり起伏に富んでいた。
これは足腰鍛えられる。
途中、ヘヤピンカーブの上と下を繋ぐような崖があった。
すると、子どもたちがそこを登り始めた。今までにも何度かやっているらしい。ほとんどの子が自分で登っている。中には年少児もいた。
スタッフは、崖の上下に分かれて、子どもたちの様子を見守っている。
子どもたちのやりたいことに対して、ほとんど止めることはない。
崖も事前に出来そうかどうかを確認し、子どもが危険な目に合いそうな時に、少し手を貸したり、アドバイスをするだけ。
登れた時も「出来たね」「登れるようになったね」とか言うだけで、「すごいね!」とか「上手じゃん」と言ってことさら褒めたりしない。
その関わり方は徹底している。
僕は「大人が子どものために出来ること」は、3つしかないと思っている。
子どもが、夢中になれる環境を用意すること。
子どもの求めに応じること。
子どもを信じて待つこと。
ここでの保育は、この3つが全て満たされていると感じた。
自然という、子どもたちが全力で関われる環境。
やりたいと言ったことを、止めるのではなく、出来る方法を考えたり、提示したりすること。
子どもがやり始めたら、極力手出し口出しせずに見守ること。
そうすることで、子どもたちは自分のしたいことを主張できるようになり、
1人の人間として尊重されているという自尊心を育むことができる。
そしてむやみに褒めない。
実は、「褒める」という行為は、子どもが行った行動という「成果」に対する「報酬」である。
褒められれば子どもは喜ぶ。これはアメ玉をもらったのと同じなので当然だ。
子どもは、次もアメ玉をもらおうとして同じようにする。言い返せば、アメ玉がもらえなければやらなくなる。
アメ玉が必要な時は確かにある。辛いことがあった時や、挫けそうな時には助けになると思う。
しかし、子どもが自分で課題を設定し、夢中になって取り組んだことは、
達成したことそのものが報酬であり、だからこそ、もっと難しいことに挑戦しようという意欲が湧いてくるのだ。
もし、その子どもに報いるとすれば、必要なのは「同意」と「共感」であって「賞賛」ではない。
今の社会で必要な力は、答えのない問に対し、自ら考えて取り組むことだ。
そうした姿勢が隅々までいき渡っているのを感じた。
正に、プロフェッショナル。
非常に有意義な視察だった。
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